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『猫語』 [ショートショートショート]

猫語.jpg 

猫語がわかるようになったのは、
たまたま近所ののら猫に
「ニャー」と話しかけたあの日からだった。

 

あの時、
なぜか猫が「こんにちは」と
返事をしたような気がして、
気づいたら猫と対話ができるようになっていた。

 

それからの僕の毎日はハッピーで、
三毛猫のウィーア、しろしろ猫のセーム、方耳だけ垂れてるファーミィ・・・と
どんどん猫友達が増えていった。

   

そして、今日は月に一回の猫会議。

 

今日もニャーニャーこれからの猫世界について語り合っていると、
不意に隣に座っていた黒猫のノーティが、僕の耳元でささやいた。

 

「おまえ、人間語がわかるんだってなぁ」

2009.04.06/photo&story by.mari


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シナリオ [ショートショートショート]

2015.06.21.jpg

珈琲片手に

今朝届いたシナリオにサッと目を通す。

「今日は課長に10分イヤミを言われる・・・っか、

 おっ、そのあと受付のキョウコちゃんから声をかけられて・・・っと。

 ん~、イイこととイヤなこと、半々ってとこだな。」

オレの一日は朝届くシナリオで決まる。

人生は毎日の積み重ねって言うけれど

オレにしてみたら、シナリオ一枚一枚の積み重ねってわけだ。

別にセリフや立ち位置を覚える必要はない。

オレは俳優でもない、ただのサラリーマン。

セリフはその時になれば勝手に口から出てくる。

シナリオは変えられない。

そう思っていた。

(・・・変だ、この言葉が・・・言えない。)

いつものように会社へ行き、いつものように昼になり、いつものように仕事を終え、いつものように家へ帰る。

そんな一日のはずだったのに。

(・・・変だ、この言葉が・・・言えない。)

言えない、言えない、言えない。

オレはこの言葉が言えない。

あふれ出しそうで、

それでもこの世へ発することを拒絶する言葉を

呑み込んだ、呑み込んだ、呑み込んだ。

消化できないこの塊に

オレの腹はごねた、ごねた、ごねた。

そしてゆっくり静かに周りは白んでいった。



珈琲片手に

新聞に目を通す。

シナリオは

オレがオレを縛り付けてたシナリオは

もうない。

「ピー」

湯が沸いた。

飲み干した珈琲カップに再び珈琲を淹れる。

2杯目の珈琲は一杯目より苦く、そして丁寧に。

オレの一日がはじまる。

ショート ョート ショート by.mari


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